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スワップ派の心得

マイナススワップを保有して為替変動をヘッジするのは意味が無い

スワップ派というのは、金利だけ得られれば万々歳という考えですから、
為替変動は大きければ大きいほどリスクと考えます。

ですので、スワップ派の命題としては、
いかに高いスワップ金利を、いかに低いボラティリティ(リスク)で獲得するか?
というものがあります。

この対策案のひとつとして、
スワップ受け取りの通貨ペアだけを持つのではなく、スワップ支払いの通貨ペアも保有すれば、
相関係数が逆になっていることが多いので、為替変動をヘッジできる!というものがあります。
(相関係数については、「相関係数ってなに?」を参照してください!)

しかし、これって本当に効率的なのでしょうか?

具体例を挙げて考えて見ましょう。

たとえば次のような2つのパターンのポートフォリオがあるとします。

 ケース1:マイナススワップの通貨ペアも入れて、為替変動をヘッジしたケース
入金した証拠金:25万円
約定代金:100万円(レバレッジ4倍)
HV:2.5%(証拠金ベースで考えると10%)
年間受取金利:5万円

 ケース2:プラススワップの通貨ペアのみで構成し、為替変動のヘッジをしないケース
入金した証拠金:25万円
約定代金:50万円(レバレッジ2倍)
HV:5%(証拠金ベースで考えると10%)
年間受取金利:5万円


HVというのはヒストリカルボラティリティの頭文字をとったものです。

ヒストリカルボラティリティについて、
詳しくは「ヒストリカルボラティリティってなに?」を参照してほしいのですが、
ちょっとだけ簡単に説明しておくと、HVというのは通貨やポートフォリオの変動率のことで、
この数値が大きいほど、乱高下する可能性が高いことを示しています。

小難しい話は省略しますが、正規分布に基づいて確率を求めると、
年間にHVと同じ率だけ変動する確率は68.3%におさまります。

たとえばHV10%の通貨ペアは年間±10%の範囲内に68.3%の確率でおさまるということになります。

さて、ここからが本題ですが、ケース1の場合、為替変動はある程度ヘッジできるはずですが、
ヘッジするためだけのポジション(スワップポイントがマイナスになる通貨ペア)をとらなければならないため、
約定代金が増加し、レバレッジを上げなければ金利(年利)が上がりません。

これに対し、ケース2は為替変動をヘッジさせる目的のポジションはとらず、
スワップポイントがプラスになる通貨ペアだけを保有しています。

どちらのケースでも入金した証拠金25万円に対して年間5万円の金利が付与されるのと、
証拠金に対するHVが10%であるというのは同じですが、
みなさんはどちらのケースの方がリスクが少ないと思いますか?

ポートフォリオのスペックは数値上どちらも同じになっていますが、
為替バカなら、潜在リスクはケース1の方が大きいと考えます。

まず、大きなポイントとしてはケース1の場合は約定代金が大きく、レバレッジが高いことです。

為替バカの場合はポートフォリオを組む際に、
HVや相関係数、VaR(バリューアットリスク)、
ショートフォール確率など、リスクを統計学的に数値化して検討します。

しかし、いくら金融工学を駆使してリスクを数値化しているとは言っても、必ず誤差は発生します。

たとえばひとつの通貨ペアしか保有しない場合のHV10%と、
通貨ペアを5つ保有した場合のポートフォリオ全体のHV10%なら、前者の方が確実に信頼性があるのです。

少し小難しい話になりますが、まず、後者の場合は、HVの算出に相関係数が必要になってきます。
(この辺の小難しい話は、「金融工学を学ぶ!」を読んでもらえれば理解できると思います。)

ひとつしか通貨ペアを保有しない場合は、為替レートからHVを算出すれば終わりなので、
算出されたHVの信頼性だけが問われますが、
5つの通貨ペアから算出したHVは、HV自体の信頼性とHVの算出に使った相関係数の信頼性も問われることになります。

つまりひとつの通貨ペアのHVよりも5つの通貨ペアのHVの方が、
ぶれが大きい可能性が高いことは間違いないのです。

もしこのケースで相関係数によるぶれがマイナス1、
HVによるブレがプラス1というように、たまたま打ち消しあってくれるような関係ならばいいですが、
場合によってはぶれがマイナス1とマイナス1となって、
自分にとってはリスクが大きい方向に偏ってぶれてしまう場合もあるでしょう。

ですので、たとえ、計算方法は正しくても、
ポートフォリオの規模が大きくなればなるほどこういった誤差は蓄積される
と思っておいた方がいいのです。

これは、HVや相関係数といった統計学的な指標の信頼性が低いというわけではなく、
統計学なので、単純に過去の通りの値動きを将来も続けるとは限らないからなのです。

ですので、数値上同じリスク、同じリターンのポートフォリオなら、
規模の小さいポートフォリオを選ぶに越したことはないのです。

また、今回のケース2の場合は、
すべての通貨ペアがある程度同じ方向に動くことが想定されていますが、
ケース1では、マイナススワップの通貨ペアを入れて為替変動をヘッジし、
レバレッジを上げることによって、年利を高めています。

この「為替変動をヘッジできている」という根拠は相関係数なのですが、
これに頼りすぎているためにリスクをカバーできない局面が訪れる可能性があるのです。

たとえ相関係数がマイナス0.7同士の通貨ペアであっても、
これは過去の値であるため、次に来る金融危機では同じ方向に動く可能性もあるのです。

打率3割のバッターは今後も必ず打率が3割になるとは限らないのと同じで、
金融工学でリスクを算出したとしても、過信することは禁物なのです。

ですので、このケースで言うなら、
ケース2の方がリスクは少ないと為替バカは考えます。

こういった考えから、為替バカはスワップ支払いの通貨ペアを保有してまで、
為替変動をヘッジしようとするのは、金融工学の過信だと思っています。

そうなるとどういう心得が必要となるのでしょうか?
次のページで説明します。